英語の学び方を学ぶ

「ある時期（おもに青春期のはじまりの１２、３歳までとされる場合が多い）を過ぎると、ネイティブのような言語学習能力を身につけるのが不可能になってしまう」という仮説です。

  この仮説は、未だ証明されてはいませんが、有力な証拠となる研究成果が数多く発表されています。

  しかし、１９７０年代後半に第二言語習得分野における研究者が導き出した主張は、「Older is faster, younger is better.」とういう内容でした。つまり、大人の方が発達した認知能力を使ってより早く短期的に外国語を学習することができるが、時間が経過するにしたがって、若い時に始めた人の方が、より母語話者に近い外国語を身につけるようになる、という主張です。またどうやら年齢という要因よりも、学習者自身の「心的態度（学習姿勢）」や「学習環境」の要因の方が、学習結果により大きな影響を与えることも分かってきました。
（『外国語学習の科学』白井恭弘著 より）


  また、『より良い外国語学習法を求めてー外国語学習成功者の研究　竹内理著』にも以下のような結論が掲載されています。
「外国語学習には、年齢以外にも多くの要因が関与しており、それらの要因のあり様次第では、思春期以降に外国語の学習を開始しても、相当に高いレベルに達する可能性が十分にあることが分かる」

  つまり、１３歳を超えた、いわゆる”大人”になってから学習した場合は、ネイティブレベルには至らないが、学習環境や学習姿勢によっては、より短時間で外国語の上達が可能ということです。

  また、いわゆる日本育ちの英語の達人たちの存在も、成人した日本人英語学習者に希望と勇気を与えてくれます。 ※「英語の達人」「臨界期」についての詳細は、 CLAメソッド無料版の９ページと１４ページ　を参照ください。

  ちなみに、本サイトとCLAメソッドは、「大人になって英語を学ぶにはどうしたらいいのか？」に焦点を当てて創られました。少しでも、あなたの悩みを解決するヒントを提供できたら幸いです。

  CLAメソッドのリスニングセクション（※注意：「４つの慣れ」ではありません。）で、英語を聴くことの「４段階」について触れましたが、聞き流すことで、段階１の【英語の音自体に慣れる】（英語を雑音ではなく言語として認識する）という効果が期待できます。

  しかし、聞き流すことで得られる効果は、段階１までです。

段階２　音声知覚の自動化
段階３　音変化への慣れ
段階４　理解段階の向上

を経て、ようやく、英語を聴いて理解できるようになります。

  つまり、英語を聴いた時に、

段階１　英語を言語として認識し、
段階２　英語を脳内で言語として反復できるようになり、
段階３　音が変化していても対応できるようになり、
段階４　その英語自体の意味を理解できるようになります。

この４つ全てがそろって初めて、英語を聴いて理解できるという現象が起こります。
※ちなみに、英語学習のためにゆっくり話されている、教科書的な英語音声ならば、ほとんど音変化をしていないので、「段階３の音変化への慣れ」に習熟していなくても、聴き取って理解することは可能です。しかし、映画などで、実際に話されている英語は、音変化を多分に含んでいるので、「音変化への慣れ」は必須であると言えます。

  つまり、聞き流すだけでは、段階１はクリアーできるかもしれませんが、
段階２、３、４には対応できておらず、２、３、４を（本来なら１も）習熟していくのであれば、聞き流すのではなく”集中して”英語を聴くことが必要です。


  さらに、スピーキングに関しては、英語の基礎単語、基本的な文法理解や、英語独特の言い回し、チャンク会話法の練習を通して、しゃべれるようになるので、決して、聞き流すだけで英語がしゃべるようにはなりません。聞き流した後に、その英語を理解し、使えるように何度も反復練習をする必要があります。

  「でも、赤ちゃんは、聞き流して、浴びるように英語を聴いて、ペラペラになるんじゃないの？？」

  たしかに、その通りです。

  しかし、赤ちゃんが、英語（日本語などの言語一般）を話し出すまでにどれだけの時間を要するでしょうか？

  文法が正しい、言語を話し出すまでに、４、５年は少なくともかかるはずです。

  「４、５年ずっと聴き流し続けられる！」という方には、もってこいの学習方法だと思われますが、先述の臨界期仮説を考慮すると、大人になった学習者が、赤ちゃんのように言語習得できるかどうか、はなはだ疑問です。

  また、赤ちゃんは必死です。
生きるために、必死で母親や、周りの大人たちの言葉を聴いています。
聞き流す、と正反対に、起きている時間を言語習得に費やし、集中して聴いているはずです。

  以上より、英語は聞き流すだけでは、ペラペラにもなれませんし、リスニング自体もおぼつかないことが分かります。ただ、聞き流すことは否定はしません。なぜなら、生活の中で、常に英語に触れている環境作りは、英語をマスターする上で非常に大切だからです。

  このような一意見も理解された上で、聞き流しの教材や手法をとられることを強くおすすめします。


  ちなみに、半強制的に、英語に集中して必死に聞き取らなければならない環境を作り出すことができれば、聴くことだけで、会話ができることは可能です。（例えば、日本人がいないアメリカの高校に通う、など。） ここに関しては、「CLAメソッドが生まれた経緯ー２」を参照してください。


  最後に、、、さらに、ここでの私の見解をバックアップする内容を、CLAメソッド有料版の４９ページから以下に掲載します。

引用：
『　白井(2004)によると、乳幼児が、大体母語を習得する4年間に与えられるインプットの量は、17,520時間(12×365×4)ということになる。しかも、生命の危機と隣り合わせの状態(負荷のかかった状態)で、聞き続けるわけである。それに対して、まじめな日本人英語学習者が、中学校から高校までに毎日1時間、休まず6年間英語を勉強したとしたら、その総時間は2,190時間(1×365×6)にしかならず、乳幼児の例の8分の1にしかならない。』

理由５。文法中心の教育　※会話自体を義務教育ではなかなかサポートしきれていない。新しい時代に対応した英語学習方法自体が確立されておらず、旧体制のままである場合が多い。

  理由５に関連して、２００７年のTOEFLの国別平均点は、参加人数比率は各国でばらつきはあるもののアジア３０カ国中、下から２番目の２８位でした。（ただし、昨今では、徐々にイマージョン教育などが取り入れられている中学、高校も増えてきており、中高において音声を重視して、音から英語に入る好ましい傾向も見られるようになってきました。個人的には、中高で、文法教育も継続したまま、半強制的に英語の音に触れざるを得ない状況をほぼ毎日作ってあげることで、いわいる、赤ちゃんが言語を学ぶプロセスで、ネイティブにより近い自然言語習得ができる可能性があるのではないか、と考えています。 詳しくは、「筆者が描く理想の英語教育政策Vision」へ。）


  以上、５つの理由より、日本人は、英語が話せず、苦手で当然です。ですので、「どーしてできないんだ！才能がないのか、、、」と自分を責めずに、「最初はみんな下手なもの！それが当然！」と開き直って、あせらずに１つずつ学習をすすめていってください。

さらなる詳細は、「CLAメソッド無料版の」の１１ページへ＼(^▽^＼)(/^▽^)/